天官賜福 bilibili 英語版の和訳 #62

天官賜福 英語版漫画の和訳 #62です。

 

☆登場人物の台詞を理解することが主な目的なので、台詞以外の、絵で表されている描写は最低限しか書いていません。

☆登場人物や場所の漢字が間違っている可能性があります。読んでくださって間違いに気づいた方は教えてくださったら嬉しいです。

☆意訳・省略ありです。

 

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「今では、自分が何を考えていたのか分からない。どうして私が彼の生きる理由になるなどと言えたのだろう…。」

謝憐は目を腕で覆って、ため息をつく。

「私は当時…、本当に自分が全能だと思っていたからこう言ったのです。今ではそんなこと、頼まれたって言えはしない。」

謝憐は壊れた天井の隙間から見える夜空を見つめ、つぶやいた。

「その人はあの後どうなったのだろう…。誰かの生きる理由になることは、もうそれだけで重荷であるのに、ましてや万人を救うなんて…。」

「”万人を救う”というようなことは、あなたの望むがままにできるでしょう。若いころにそんな言葉を言っていたのは…勇敢ですが、愚かだ。」

「その通り。」

「愚かだが…とても勇敢だ。」

謝憐はその言葉に、パッと目を見開き三郎を見る。三郎はただ静かに目を閉じている。

「本当に、ありがとう。」

「しかし太子殿下、僕たちはまだ知り合ってたった数日なのに、多くのことを僕に話してしまっている。いいのですか?」

謝憐はグーッと伸びをしながら言う。

「何故ダメだと思うの?問題ありませんよ。あなたに数十年来の知り合いがいても、1日で他人に戻ってしまうこともある。私たちは偶然他人として出会ったのだから、別れることもあるでしょう。気が合えば会い続けるし、そうでなければ離れていくだけだ。世界中のどんな宴にも終わりは来るのだから、今のうちに満たされていなければ。」

「もし…僕の見目がよくなかったら。」

「え??」

突然思いもよらぬ発言をした三郎に、謝憐は驚いて固まる。

「つまり…、僕の本当の姿の見栄えが良くなくても、それでも見たいのですか?」

「えっと…。理由はないのだけど、あなたの本当の姿は悪いものではないはずだと感じていますよ。」

「どうでしょう?僕が危険で、周りに溶け込めぬ特徴を持っていて、悪魔のように醜く、おぞましいほど不吉な悪霊だったら?あなたはどうしますか?」

謝憐はその言葉に、毛布代わりの服をぎゅっと握り締めた。

”絶”の鬼王でさえも見目の良さを気にするのか。そういえば、彼は子供のころから醜かったという噂を聞いたことがあるような…。

もしそれが本当なら、彼は生きていた時に差別を受けていただろう。子供のころからずっと虐められていたかもしれない…。だから彼は本来の姿について気にしているんだ。

 

謝憐は咳ばらいをして口を開いた。

「本当のところ、私があなたの本来の姿を見たいという理由は…。ほら、私たちはもうこんな風に一緒に寝ることもできているから、友達として数えられるでしょう?友達としてお互いに正直であるべきだから、あなたの本当の姿を見たいと言ったのです。あなたの見目が良いかどうかは、本当に何の関係もないことで…」

そこまで言ったところで、謝憐は困惑した。三郎が口元を抑え、肩を震わせ始めたのだ。

私が言ったことに感動しているのか?

しかし顔を上げた三郎は泣いているのではなかった。

「ハハハハ…。」

彼は本当におかしそうに笑っていた。

謝憐は顔を赤くして三郎の胸をドンと押す。

「三郎!何故そんなに笑っているの?私は何かおかしなことを言った?」

「ハハハ、違う、違う。哥哥の言葉は全く正しい。本当に感動しましたよ。」

「心にもないことを…。」

三郎はそう言う謝憐の手を掴んだ。

「誓いましょう。」

顔を寄せ、謝憐の手を自分の胸に置く。

「天界でも地上でも、あなたは僕以上に誠実な者を見つけることはできないでしょう。」

謝憐は真剣な彼と目を合わせることができなかった。顔を赤くして三郎の手から逃れる。

「わ…忘れてください。もう話すのはやめましょう。寝ないと。」

背を向けた謝憐を、三郎は微笑んで見つめる。

「次に…。」

謝憐の髪を手に取り、そっと口づけた。

「次に会う時は…本当の姿でお会いしましょう。」

 

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前話と同じく、この話も美しい謝憐と三郎であふれていますね!

初っ端から、頬杖をついて謝憐を見つめる三郎がもう最高に美しい!

愚かだけど勇敢だ、と言われて、礼を言う謝憐の表情も美しい。でもこの表情を何と表していいのか分からない…。優しい表情、と言うには何か違う気が…。とにかく、静かで美しい表情で好きです。

 

でもこの話で一番好きな顔は、感動して泣いてると思いきや笑ってて、顔を赤くした謝憐に怒られている時の三郎の笑顔です!

何なのこの笑顔!すこし子供っぽくて可愛い…!こういう笑顔の三郎は初めてじゃないですか?ちょっとへにゃってしてるような笑顔!すごく幸せなのだろうなぁと思える笑顔。

多分この笑顔、三郎の過去や謝憐への想いが全て明らかにされた後に見たら、泣けてしまうのではないかと予想しています。

どんどん続きを読みたいですね…!