天官賜福 bilibili 英語版の和訳 #34
天官賜福 英語版漫画の和訳 #34です。
☆登場人物の台詞を理解することが主な目的なので、台詞以外の、絵で表されている描写は最低限しか書いていません。
☆登場人物や場所の漢字が間違っている可能性があります。読んでくださって間違いに気づいた方は教えてくださったら嬉しいです。
☆意訳・省略ありです。
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南風が炎を岩に近づける。
「では、もっと詳しく見て下さい。」
「分かった。」
謝憐は文字と向き合うが、周囲が更に明るくなったことで、あるものに気付く。
少し離れた岩陰から、4人を観察する者がいたのだ。
謝憐と、4人を観察していた男はしばし沈黙して見つめあうが、男はだんだん顔を青ざめさせ、ついに悲鳴を上げて逃げ出した。
「何者だ!」と4人はその男の後を追う。
「ゆ、許してくれ!」
「私たちはただの通りすがりの隊商だ!砂嵐が強すぎて、進み続けられなかったから、ここに避難することにしたんだ !」
男が逃げた先には、旅装の男が十数人固まっていた。4人に怯える彼らを南風が追及する。
「普通の商人ならば、なぜ隠れてコソコソしている?」
その言葉に少年が立ち上がって反論する。
「俺たちはそもそも隠れてなんかいなかった!あんたたちがここに駆け込んできて、何もない手に火を作って、半月妖道が人間かどうか話し始めたから!だからあんたたちが噂の半月の兵士で、俺たちを食べに来たと思ったんだ!そんな中わざわざ音をたてたりしないだろう!」
「そんなつまらんことを言うな!」
いきり立つ少年を、杖を持った男が制す。
「鄭おじさん!でも…。」
「それはただの誤解ですよ。」
謝憐が間に割って入る。
「私たちは、簡単な術が使える道士にすぎません。邪悪なものではないですよ。あなたたちと同じように、砂嵐から逃げてきたのです。怖がる必要はないですから、落ち着いて。」
謝憐の温厚で平和的な姿に、少年は自分たちの勘違いに顔を真っ赤にする。
杖を持った男も少し気まずげだ。
「そ、それはよかった。私たちは平凡な商人なもので、あなたたちに怯えてしまった。」
三郎がその言葉を笑う。
「またまた…。僕から見たら、あなたたちは全く“平凡”には見えない。謙虚すぎますよ。“そこを通る全ての集団は、その半数以上が消えてしまう”。この噂を知らないはずがないだろうに、まだこの地域を通り抜ける勇気がある 。それでも自分たちを“平凡”だと?」
男は状況を説明する。
「いやいや。地元の者に道案内をしてもらって、半月に迷い込まないようにすれば問題はない。」
「俺たちは阿昭兄さんに頼んだんだ!彼のおかげで安全なんだ!」
少年の言葉に、阿昭と呼ばれた青年が静かに言う。
「自分の仕事をしているだけだ。」
彼らはだんだんと落ち着いてきたのか、ワイワイと話し始める。
「砂嵐が過ぎて、外に置いてきたラクダと荷物が無事だといいんだがな。」
「絶対大丈夫だよ!」
「そうさ。」
そんな彼らを謝憐は心配する。
この商人たちは楽観的過ぎる…。うっかり半月国に入り込まなければ大丈夫だと?これまでに消えた商人たちは?彼らも聞く耳を持たず、死に向かっていったのだろうか。
謝憐は商人たちには聞こえないように、扶揺と南風に声をかける。
「砂嵐が過ぎたら、半月国を調査する前に彼らを安全な場所まで送ろう。」
謝憐は石碑の前にしゃがみ込み再度解読を試みていたが、将軍の後に続く言葉が分からない。文字が全部同じように見えて、謝憐は眠たくなってきてしまう。
「将軍の墓石」
三郎の言葉に謝憐はハッと目を見開く。
今思い出した!将軍の後に続く言葉は、大まかに“墓石、墓、納骨所”を意味するのだった。
「三郎、あなたは半月の言葉まで知っているの?」
「多少は。少し興味を持っていたので。」
「運よく、私が知らない言葉を知っていたね。おいで。一緒に見よう。」
岩を囲んでいる謝憐たち4人を、少し離れた岩陰から先ほどの少年、天生が眺めていた。
「ねえ、そこの岩に何が書いてあるの?」
「これは墓石だよ。中原からやってきた将軍の人生を伝えている。」
「中原から来た将軍?なぜ半月の者がその墓石を建てるのです?」
疑問の声を上げる南風に、三郎が墓石に掘られた文字を読み進める。
「将軍とは言うが、実は彼はよく知られた神官だった。彼は初め100の兵を率いていたが、70人となり、50人となり…。結局彼の地位は一番上から一番下に降格した。」
その話に、もしかして…。と扶揺と南風が謝憐を疑惑の目でみる。
天生は何も知らないので悪気なく尋ねる。
「え?神官なのに、どうやってそんなに落ちぶれちゃったんだろう。どれほどの失敗をしたのかな?」
謝憐は顔を赤くしたが、咳ばらいをして取り繕うように言う。
「少年よ…。神官が落ちぶれてしまうのは…とてもありがちなことなんだ。」
三郎が同意をする。
「確かに、非常にありがちですよ。」
少し笑って将軍の説明を続ける。
「しかし、この将軍の降格は彼の実力不足によるものではなく、彼がいつも戦場で邪魔をしたからです。」
「どうやって邪魔したんだ?」
「彼は自分の兵士が民間人を殺すのを防ぎ、敵兵も同じことをするのを防いだ。」
天生はその話に好感を持ったようだ。
「彼は悪くないと思うな。戦争中でも、民間人を殺すのはダメだ。」
天生の後ろにいた商人たちも同意する。
「将軍の立場でその行動はまずいが、間違ってはいないな。」
「そうだな。彼は人を傷つけるのではなく、守っていたんだ。」
それを聞いて、謝憐は小さくため息をついた。
半月国の壊滅からすでに数百年たっているから、今は当然のように同情できるんだ。だが…。
阿昭が静かに言う。
「200年前に両国が互いに抱いた憎しみは、今の人々には想像すらできないものだ。その神官は降格で済んで幸運だった。」
「ばかげているな。」
扶揺が冷笑する。
「将軍としての地位を考えると、彼は自国を守るために殺しをしなければならなかった。戦争が起これば犠牲は避けられない。そんな優しさは馬鹿にされ、嗤われるだけだ。それに感謝する者など1人もいない。」
扶揺は掌の炎を見つめ、冷たく続けた。
「結局、そのような者が向かう先は一つしかない…“死”だ。さらに言えば、自分の部下の手により殺された可能性が極めて高い。」
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阿昭…放浪の剣士って雰囲気ですよね。
道案内して小遣い稼ぎする地元民には到底見えないですよ。
アニメ阿昭は地元民に見えたけど。
南風と三郎は互いに慣れてきた感じあるなぁ。南風が質問して、三郎が答えてあげるっていうだけだけど、ちゃんと会話してる。
扶揺とは会話できるかな~?