天官賜福 bilibili 英語版の和訳 #51

天官賜福 英語版漫画の和訳 #51です。

 

☆登場人物の台詞を理解することが主な目的なので、台詞以外の、絵で表されている描写は最低限しか書いていません。

☆登場人物や場所の漢字が間違っている可能性があります。読んでくださって間違いに気づいた方は教えてくださったら嬉しいです。

☆意訳・省略ありです。

 

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半月国師の手が謝憐の腕を掴んだ。

「ふ…花将軍…。」

彼女は目に涙を浮かべ、弱々しく謝憐をそう呼んだ。

それに謝憐は固まった。間近でみる彼女の顔、彼女が読んだ名前。遠い記憶がよみがえった。

「あなたは…半月?」

「ごめんなさい隊長…。私は事態を混乱させました。」

2人の様子に混乱していた刻磨は扶揺に隙をつかれ、縛り上げられた。

「将軍?隊長?それは将軍の墓標の…?」

「…そうです。あれは私の墓標です。」

うすうす勘付かれてはいただろうが、ついに露見してしまった。

「しかし、200年前にここに来たのはガラクタ集めのためだと言いましたよね。」

「説明が難しいな…。あの時、私は南へ行くために慶鈴山を通りたかったのですが、砂漠に入って羅針盤が壊れていることに気が付きました。だから少しの間、半月国の近くで生活することにしたのです。」

そう言いながら、謝憐は袖から清潔な布を取り出し、半月の顔の血をぬぐった。

「最初は、近所のガラクタを集めるだけのつもりだった。しかし国境の近くでは小競り合いが多く、兵士がよく軍を脱走したから、彼らは数合わせで私を捕まえたのです。」

そんな謝憐を見つめ、半月の瞳からはさらに大粒の涙が零れる。

「それから私は隊長となり、民衆は私を尊敬の念から”将軍”と呼んだ。」

「では、なぜ彼女はあなたを”花将軍”と呼ぶのですか?あなたの姓は花ではないでしょう。」

「ああ、大した理由ではないよ。偽名を思いついたんです。適当につけた名で、花謝だったかな。」

謝憐は話を戻した。

「当時彼女は半月の子供たちに差別されていました。同じように国境に住んでいた永安の少年だけが、進んで彼女の面倒を見ていた。」

そこで彼は苦笑いして頬を掻く。

「半月国師の“半月”とは国の名前から来ているのだと思っていました。本当はあなたの名前から来ているとは思わなかったな。」

「それから?」

扶揺が冷たく話の先を促す。

「それから…墓標にあった通りに事は進みましたよ。」

「墓標には、あなたは亡くなったと彫られていました。」

三郎が、あまり触れられたくなかった事に踏み込んできた。謝憐はまた苦笑する。

「ハハ、それは…。もちろん、私は実際には死んでいない。死んだふりをしたのです。」

「あの時、いくつか些細な諍いがあり、両軍は激怒して戦いが始まろうとしていました。彼らを止めに入ったんだが、剣と槍に襲われてしまった。」

扶揺は呆れる。

「あなたは常にそうやって干渉して両軍から憎まれていたのでしょう?そうでなければそんなにすぐに刺されないでしょう。あなたへの憎しみが強いと知っていたなら、なぜ避けずに突っ込んでいったんです?」

「はは…。」これに謝憐は笑うしかない。

「その後のことは、何と言うべきか…。」

謝憐はどこまでも逃げ続けたが、半月と永安の兵もそれを追い、剣や槍で攻撃を続けた。

「私は死なないけど、そうやって刺されるのはどうしようもない。だから私はある決意をするしかなかった。私は地面に倒れ、死を演じた。最後には目が回るまで踏みつけられましたよ。そして、私は川の水でむせて目が覚めた。きっと戦場を片付ける時に、死体と間違えられて川に投げ込まれたのでしょう。」

謝憐は鎧をはぎ取られ、本物の死体と共に川を流れていった。荷物を持ってくる時間がなかったのが残念だ、などとのんきなことを考えながら。

「とにかく…頭がはっきりした時、すでに私は川の流れとともに永安に向かって漂っていると気が付きました。」

その謝憐の過去に皆何も言うことができず、しばし沈黙が流れた。

最初に口を開いたのは半月だった。

「花将軍、ごめんなさい。」

半月はまた謝憐に謝罪する。

「…なぜ彼女はあなたに謝り続けるのですか?」

「花将軍は…わたしを守るために戦場に飛び込み、打ち負かされてしまったのです。」

扶揺の問いに、半月は悲痛な面持ちで目を伏せて答えた。

 

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この話、可愛くて美しい謝憐がいっぱいだ…。苦笑いばかりだけどそれが可愛いんだよなぁ。眼福。

 

で、三郎…。謝憐が花謝と名乗っていたことを聞いてめちゃくちゃ嬉しそうですね?嬉しそうだけでなく...得意げ?得意げな笑みではないですか?可愛い。