天官賜福 bilibili 英語版の和訳 #29

天官賜福 英語版漫画の和訳 #29です。

 

☆登場人物の台詞を理解することが主な目的なので、台詞以外の、絵で表されている描写は最低限しか書いていません。

☆登場人物や場所の漢字が間違っている可能性があります。読んでくださって間違いに気づいた方は教えてくださったら嬉しいです。

☆意訳・省略ありです。

 

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「これを読んで。何と書いてあるか言ってみて。」謝憐が扶揺と南風に、門に立てかけた看板を示す。そこには信じられないことが書かれていた。

“現在、あなたの名で功徳を積むことと引き換えに、この損傷した家を再建するための寛容さと寄付を求めています。”

「損傷した家を直すために寄付を求む…。あなたがこれを書いたのですか?神官としての尊厳はどこへ行ったのです?」

扶揺が顔を歪ませる。

「ええ、私がこれを書きました。あなたたちがあそこで戦い続けるのなら、私はこの家の修理の手助けではなく、新しい家を求めることになる。そうなれば尊厳はさらに失われるでしょう。」

南風がじれったそうに頭を掻く。

「あなたはあの若者が胡散臭いとは思わないのですか?」

「もちろん思うよ。」

謝憐がさらりと答える。

「でも、私はすでに彼を試したんだ。」

「結果は?」扶揺と南風が勢い込んで聞く。

「それに関しては何も問題がなかった。現時点では、彼が人間でないとするならば、残っている可能性は1つだけです。」

謝憐が髪の毛に引っかかっていた瓦のかけらを取りながら言う。

「つまり、彼は“絶”の鬼であるかもしれないのですね?」

扶揺が怖い顔で言う。

「君たちは、“絶”である鬼の王が私たちみたいに暇だと思うの?」

話しながら、謝憐は髪の毛の中からきれいな瓦のかけらを見つける。それをまだ使えるからと袖の内にしまって2人にさらに言う。

「私とガラクタ集めをするためにこの小さな村に来るほど?」

これに2人は何も言えなくなってしまう。

「十分だろう。」

そう言って謝憐は南風の肩にポンと手をのせる。

「あの子と私はとても気が合う。私たちの運命はとても似ているから、あまり尋ねすぎないでやってくれ。」

だが2人はまだ納得していない。南風が言う。

「いけません。まだ彼の真意を試す方法を見つけなければ。」

それに対し、謝憐は少し厳しい顔をした。

「あなた次第だが、度を越したことはしないようにね。彼はもしかしたら本当に、家出をしてきただけの若君かもしれないのだから。彼をいじめてはいけないよ。」

扶揺は白目をむいて「ええ、彼をいじめません」と棒読みしたが、南風は嘘でもそんなことは言えず、汚い言葉をまくしたてた。

 

「三郎、さっきは誤解があったみたいだ。」

部屋の中に落ちてきた瓦などを片付けていた三郎にそう言う。

「空殻がとても怪しいので、扶揺と南風は半月関の問題解決を手伝いに来てくれたのです。とても複雑な状況だから、用心深くなっていたんだよ。」

扶揺と南風を道勧の中に入れて、謝憐は三郎に笑いかける。

「だからあまり気にしないで、三郎。」

三郎もそれに微笑む。

「哥哥が誤解だと言っているのだから、気にしませんよ。きっと僕が彼らの知り合いにでも似ていたんでしょう。」

扶揺は三郎と目を合わせずに言う。

「そうだ。さっきは、お前を別の知った奴と見間違えたんだ。」

「へえ、偶然だね。僕もあなたたち2人を知っているように感じるんだけど。」

「…。」

扶揺と三郎は静かではあるが、獣の威嚇のように敵意をぶつけ合う。

南風が咳ばらいをしてその険悪な雰囲気を破る。

「すこし場所を空けてください。陣を描かなければ。」

扶揺と三郎の様子に冷や汗をかいていた謝憐がほっとしたように言う。

「どうやって半月関に行こうかと心配していたけれど、あなたたちが来てくれたから確かに“縮地千里”が使えますね。」

そして皆を道勧の奥へ促す。「中へどうぞ。」

 

「この壁の、ここら辺に描いて。」

謝憐がボロボロの壁を示す。

「…。」

扶揺と南風がその部屋を見て目を丸くする。

部屋にはほぼ物が置いておらず、天井も壁もボロボロだ。更に先ほど扶揺が壁を壊したために、空いた大きな穴から風が吹き込んでいる。

「あなた、こんなところに住んでいるのですか?」

「私はいつもこんなところに住んでいるよ。」

南風はもう何も言わず壁に陣を描き始めたが、扶揺は額に手をやりおおきなため息をついた。そしてふと気が付いて問う。

「寝台はどこですか?」

謝憐はまさに今、寝台としているむしろを丸めて片付けていた。

「これが私たちの寝台だよ。」

“私たち⁉”と扶揺と南風がバッと三郎に顔を向ける。

「あなた達は一緒に寝ているのですか?」

謝憐はきょとんとする。「問題が?」

どこまでも不用心な謝憐に扶揺と南風は呆れ果てているが、謝憐は彼らの大きなため息さえ気にしない。

「少し準備をさせてください。もうすぐに出発だからね。」

 

準備を終えた謝憐が三郎に問いかける。

「そうだ、三郎。半月国の国師について、話の続きをしてくれないか?」

そこで謝憐は、三郎の組んだ腕に刺青があることに気づく。

「これは…。」

三郎はそれを、服の袖を伸ばして隠す。

「小さいころに入れられたものです。気にしないでください。」

そして半月国についての説明を始める。

「半月国の国師、半月妖道は、妖幻双師の一人です。もう一人は中原の道士で、芳心国師といいます。」

芳心国師という名を聞いた謝憐は顔をこわばらせる。

「しかしこの芳心国師は、半月国とは何も関係がありません。半月関を襲う妖術について話を戻しましょう。」

しかしそこで、南風が陣を描き終える。

「出来ました。」

扶揺がまあこんなものでいいだろう、と偉そうに頷いている。

「まずは半月関に向かおうか。歩きながら話しましょう。」

「はい。」

 

謝憐は陣の前に立ち唱える。

「天官賜福、百無禁忌。」

そして陣の中心に手を置くと、陣に描かれた文字が輝き始める。謝憐は陣へ足を踏み出し、3人がそれに続いた。

 

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この話の謝憐は、

髪の毛から瓦の破片を取る時の顔と、

やりすぎないようにね、と扶揺と南風に釘をさす時の顔が好きです!

眉をひそめて目を伏せている時と、何かを横目で見る謝憐が好きなのかもしれない…。基本ふわ~っとした優しい可愛い顔が、色っぽく美しくなるから。

 

三郎は、

哥哥がそう言うなら気にしません、って言う時の無邪気な雰囲気がある笑顔と、

扶揺と南風に”私たち⁈”って振り返られた時の顔が好き!

後者の方の顔何なの…。無表情だけど、これドヤ顔って思ってていいですかね。美しすぎるドヤ顔!