『不小心救了江湖公敌』『Saved the Public Enemy by Mistake』 BILIBILI漫画 英語版の和訳 #1
不小心救了江湖公敌 英語版漫画の和訳 #1です。
☆登場人物の台詞を理解することが主な目的なので、台詞以外の、絵で表されている描写は最低限しか書いていません。
☆登場人物や場所の漢字が間違っている可能性があります。読んでくださって間違いに気づいた方は教えてくださったら嬉しいです。
☆意訳・省略ありです。
****************************************
コンコン、コンコン
小鳥もまだ起きぬ早朝、或る屋敷に戸を叩く音が響いた。
屋敷の主はその音を無視して眠り続けようとするが、戸を叩く音はやまない。
ついに主は起き上がった。
コンコン、コンコン
戸を叩く音は続いていたが、尋ね人はもはや力尽きる寸前であった。
戸の取手から手が滑り落ちていく。
ちょうどその時、屋敷の主、陸九が戸を開けた。
「まだとても早い。急病か?」
戸が急に開いたことで、戸に身を預けていた尋ね人はぐらりと前に倒れた。
「⁈」
陸九は目を見開き驚く。
“これは…なんて血の量だ。彼は生きているのか?”
陸九は顔をゆがめる。
“来るべきはここではないだろう!葬儀屋は隣だぞ!隣の戸を叩いていたなら話は簡単だったのに!”
だがそこで倒れた少年が呻き、弱々しくせき込んだ。
「まだ生きている…。」
病室に、助手の小禾がやってきた。
「先生、きれいな水を持ってきました。」
「桶に溜まった血を出して、ここにきれいな水を注いでくれ。」
「先生、これで桶4杯分の血ですよ。彼に何があったのでしょう?」
陸九はまだ少年の体の血をぬぐいながら答える。
「彼は道士だ。全身に深手を負っているし、灵丹が力ずくで取り除かれている。まだ生きていることに驚きだ。」
「先生は道士を治療したことはないと思っていました。」
「それでも私の療養所の前で死なせられるか。まったく…面倒な。彼の傷のひどさから推測するに、敵対する道士の一団に襲われたに違いない。全く遠慮なしにやられたのだろうな。」
「でも、彼は10代の少年に見えますよ。何故こんなに若い人に、そんなに多くの敵がいるのでしょうか?」
「道士は若々しい外見を保つことができる。この若者はもう100年生きていて…その中で敵を作り続けているのかもしれない。彼が回復したら、裏口から彼をどこかへ運び出そう。遠ければ遠いほどいい。私はこれ以上彼に何もしたくない。」
陸九は疲れた様子で、機嫌が悪そうだ。
「玄関を閉めて血を掃除してくれ。今日は、療養所は閉める。」
「はい、先生。」
陸九は少年の傍で容態を見守っていた。
すると少年は目を覚まし、体を起こそうとした。
「ぐ…」
だが到底起き上がれぬはずの大怪我だ。少年はまた意識を失った。
どさりと倒れた拍子に、美しい飾りが布団からはみ出た。翡翠だろうか。
陸九はそれを手に取りよく眺めると、冷や汗が出てきた。
“柳…。銀雲紋…。彼はもしや…。”
邪教と恐れられ、あらゆる門派と敵対した极乐楼主、柳江鶴ではないのか⁈
千行崖から飛び降りて死んだと言われているが…。
“とんでもない災厄を救ってしまったのか…。どうする…?彼はすぐに目を覚ますだろう。早く彼を放り出さなければ…。”
そう考えていると、ふと治療用の針が目に留まった。
陸九は針を一本取り出し、少年の額へ向ける。
”念のため、彼の意識を封じておこう。"
陸九は針を振り下ろすが、それは少年の手に遮られた。針が突き刺さり、少年の手から血が滴る。
「お医者さん…何をしている?」
「え?!わ、わたしはただふざけていただけで…。」
少年は彼の見え透いた嘘など聞いていなかった。
針が更に深く刺さることを厭わず、陸九の手を握り体を引き寄せた。
「俺の精神をいじくりまわすために針を持っているのか?俺が目を覚ますのが少しでも遅かったら、お前は俺の頭蓋を割っていたんじゃないか?そうだろう?」
少年はそう言って、陸九の首にもう片方の手をかける。
「な!ち、違う…。手を放せ。見ろ、お前の傷を。治療してやってるだろう?」
「本当に?」
少年のその言葉と同時に、針が刺さった手から血がゆらりと立ち昇った。
「何をしている⁈放してくれ!」
しかし少年は陸九の手を強く握る。すると立ち昇った血は2人の手を中心に円を描き…契が交わされた。
「なんだ…これは⁈」
「生死の契りだ。俺が死んだら、お前の命も終わる。」
少年はそう言いながら、やっと首にかけた手を放す。陸九の髪に手を滑らせ不敵な笑みを浮かべる。
「お前は医者だろう。お前が考えるべきではないことに関心を持つな。」
「お前!」
「げほげほ」
いきなり、少年が激しくせき込んだ。
今まで怪我人であることを忘れさせる振る舞いであったのに、咳は止まらない。
口元を抑えた手から血があふれる。
やっと咳が収まると、少年はやはり怪我人とは思えぬ不敵な表情を浮かべた
「助けてくれ。頼む。」
そう言うと少年はどさりと倒れた。
陸九はそれを筆舌に尽くしがたい顔で見ていたが…結局仕方なく叫んだ。
「高麗人参を持ってこい!」
掃除を終え、庭に戻ってきていた小禾が驚いて問い返す。
「え?先生、応急処置をしたら、彼を追い出すのではなかったのですか?」
「いいから早くしろ!」
****************************************
またbilibiliで新しく漫画を読み始めました!ちまちまと和訳をこのブログに挙げていこうと思っています。読んでくださったら嬉しいです。
本当は天官賜福の和訳をしたいのですがね…。漫画の更新がないからどうにもならず。大元の中国bilibiliの更新もないからなぁ。気長に待つしかなさそうですね。
そういうわけで天官賜福更新までのつなぎというか、いつも何かに夢中になっていたいので新しくこの漫画の和訳を始めました。
天官賜福を和訳する時は漫画より先にアニメを見ていて多少なりと知識があったし、用語一覧サイトなど、助けになるものがたくさんありました。
今回はまじで未知…。
というのが人物名、土地名、用語に間違いがあるであろうことへの言い訳です(笑)
なるべく中国語版も読んでチェックはします!
規格外に美しい天官賜福で目が肥えてしまったかもしれませんが、この漫画も十分に絵が綺麗です。
今は#52まで更新されているようなので、ゆっくり楽しめそうです!