『不小心救了江湖公敌』『Saved the Public Enemy by Mistake』 BILIBILI漫画 英語版の和訳 #38

不小心救了江湖公敌 英語版漫画#38の和訳 です。

 

☆登場人物の台詞を理解することが主な目的なので、台詞以外の、絵で表されている描写は最低限しか書いていません。

☆登場人物や場所の漢字が間違っている可能性があります。読んでくださって間違いに気づいた方は教えてくださったら嬉しいです。

☆意訳・省略ありです。

 

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「陸先生は、俺たちが似た者同士だって言うのか?

第一に、俺は医療行為の名のもとに街を虐殺なんかしちゃいない。第二に、恩を仇で返さない。」

江鶴は机に頬杖をついて、皮肉気な笑みを浮かべる。

「少なくとも、まともな道徳観を持っているよ。で、俺たちはどう似ているんだ?」

「…。」

それに対し青云はしばし沈黙し…

何も言わぬまま、また本を読み始めた。

江鶴はぎょっと目を見開き突っ込む。

「何故前みたいに反論しないんだ?」

「どう反論しろと?お前の言う通りだ。」

青云は本から顔を上げ、やっと江鶴の顔を見る。

「そうやって私の過去を探ろうとするのはやめろ。

噂は本当だ。私がやった。」

青云はやまぬ雨に目を向け,自ら過去を話し始めた。

「思い出せる限りでは、人生の最初の数年は集団墓地で過ごし、野生の獣と死肉を取り合っていた。」

 

その記憶はまだ色褪せていなかった。

墓地とは言うが墓もなく、死体が放棄されていくだけのような場所だった。

その日、少年は野犬と死体の腕を取り合っていた。

腕をくわえて逃げ出す野犬を、棒切れを持って追い回す。

距離を詰め地面を蹴って跳躍すると、子供のものとは思えぬ力で野犬の頭上へ棒切れを振り下ろした。

そうして勝ち取った腕を手に取ったが、少し考えて、彼はそれをポイと放り捨てた。

たった今、その腕よりも新鮮な肉が手に入ったのだ。

グチャグチャと音を立てながら、彼は野犬の内臓をむしり取る。

それをほおばっていると、少年の顔に影が差した。

「!」

顔を上げると、そこにはこの墓地ではまず見ることのできない、きれいな身なりの男が立っていた。

「素晴らしい灵丹持っている。だが経絡はない。面白い。」

「?」

男の意味の分からぬ発言に、少年は首を傾げた。

 

「集団墓地で唯一の生者だったのか?何故解清玄はそんな場所に?」

「彼と解仁宇はたまたま通りすがったようだ。」

そう答えて、青云は江鶴に冷たい目を向ける。

「…体の痛みは?よくこんなに質問できる体力があるな?」

「痛みは耐えられるが、好奇心は我慢できない。

本当にお前の過去をもっと知りたいんだ。」

「奇遇だな。私もだ。」

青云の言葉に、江鶴は機嫌よく笑う。

「お前も俺の過去に興味があるって?なんでも教えよう!

どこから始めようか?俺が4宗派に襲われたところからにするか?それとも生まれたところから?

俺は子羊を飼っていて…」

「私は、私の過去に興味があるんだ。」

江鶴の言葉を無情に遮る青云の表情は真剣だ。

「集団墓地以前のことを思い出せない。」

「…。」

目を細め静まった江鶴に、青云は語りだす。

「桃花塢でお前を救った時、お前は生死の契を結ぶために灵力を使い果たした。契を解くのにも灵力を使っただろう。

そして刘淵の屋敷を屠殺場にした夜、昆山玉を粉砕し灵丹の代わりとし、体に強制的に気を巡らせた。」

「なぜ突然その話を持ち出す?

あの時は激しい戦いに体が耐えられず、勝つ前に死んでしまうかと思った。

そうなれば、生死の契によってお前も死ぬことになる。だから、玉を砕いた時に契を解いたんだ…。」

そう言う江鶴を、青云は冷たい眼で射貫く。

「以前誰かが言ったのだが…。生き延びるために私と契約を結び、彼が死ねば私も終わりだと。

医者としての心得も教えてくれてな。私が考えるべきではないことに関心を持つな、と。」

皮肉めいた恨み言に、江鶴は笑みを引きつらせる。

江鶴が何か言いつくろう前に、青云は言葉を続ける。

「私たちはそれ以前に会ったことがないのに、お前は自分の命以上に私の安全を優先した。普通のことではないだろう。

私のために死のうとするほどの絆を持った者には覚えがない。この記憶が間違っているはずはない。

であれば、私が失った記憶の中で、何かが起こっていたのだろう。

私たちはかつて知り合いだったのか?」

 

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